HIV・STD対策に取り組んで、10年以上がたった。はじめは、PWA(HIV/AIDSと共に生きる人々)の仲間たちと一緒にボランティア活動を行ったり、活動場所を得るために仲間たちが住む地域の保健所を一緒に尋ねたりした。
活動を共に行ってきた親友が言う。
「自分はAIDS患者だけど、なりたくて感染したんじゃない。もっと早く検査できれば、免疫力が減って、目が見えなくなるウィルスに感染することもなかったに。もっと早く検査ができれば、薬を飲みながら仕事ができたのに。もっと早く知識があれば予防できたのに。もっと早く『人を大切にすることは、自分を大切にすることなんだ』ってわかっていれば、自分を大切にできたのに・・・。
今はもう一緒に活動できないけど、渡會がやっていることはいつかみんな理解してくれるよ。」
人それぞれの性への価値観が混在する日本で予防活動を行うことは簡単ではない。どれだけこの言葉に助けられたかわからない。
「うるさいなぁ。別に今、楽しければいいじゃん。人に迷惑かけてないでしょ。」
そういう気持ちもわかる。
ちょっと自己中心的だったり、ちょっと無防備になってみたり、それがかっこよく感じる思春期や青年期を経験した人も多いと思う。
でも、少し大人になると、その経験が自分やパートナー、家族の健康に影響を与えることに気が付く。
保健師という職業柄、小さい子からお年を召した方まで、様々な相談を受けてきた。
私が持っているものはわずかだが、大切な命を守るための情報を、できる限り皆さんに伝えたいと思い活動してきた。
性感染症には、予防・早期発見・早期治療、どれもとても重要。
自分を大切にする、人を大切にする、自分を大切にしてもらう、予防をする、予防してもらう、検査を受ける、検査を受けてもらう、病院にいく、病院にいってもらう、治療する、治療してもらう
ちょっと勇気が必要かもしれないし、決断も必要かもしれない。自分や人を守ろうとする心も必要かもしれないし、中途半端に投げ出さない力も必要かもしれない。
意外と性感染症の予防・早期発見・早期治療は難しいかもしれない。
みなさんは、どんな状況にありますか?
性感染症を予防・早期発見・早期治療するには何が必要か、一緒に考えてみませんか?
そして、保健師の皆さん、今、私たちにはどのような活動が必要か一緒に考えてみませんか?