4月26日土曜日、三重県のある高等学校でPTA・教師・保健師の方々対象の講演に行ってきました。
題名は、「性・命の教育~生きるための心の教育・性教育が子どもを変える」。
話の内容を一部ですが、ご紹介したいと思います。
性教育というと日本人はいやらしいイメージを持っている方が多いのですが、
「性」 という字は、「生きる」 に 「心」 と書きますので、私は、性教育を 「生きるための心の教育」 と表現しています。
今回の講演はメインがPTAの方でしたので、家庭で行ってほしい性教育について話しました。
私たち大人は性教育を系統的に受けたことがありませんので、
ご家庭での性教育は 「とても伝えにくい」「難しい」 と思われる方が多いです。
しかし、構える必要はありません。
家庭で最も重要な教育は 「男女の話し合う姿を見せる」 ことです。
(一番難しいとおっしゃる方もいますが・・・(苦笑))
実は、話し合うことを教えることは、性感染症・人工妊娠中絶だけでなく、虐待・命の軽視などの予防にもつながっています。
人間としての大変重要な基本的な部分なのだと思います。
夫婦間に暴力があり片方が暴力に耐えているような家庭では、
子どもは話し合って解決する方法を家族から学ぶことはできませんし、子どもも親から無償の愛を感じることができません。
子どもは、話し合う大切さを幼いころに親から学ぶことができないと、コミュニケーション能力を磨くことができず、
親を反面教師にして 「暴力のない家庭を作りたい」 と思っても、解決の仕方がわからなくなります。
これは、虐待を受けて育った親が、子どもが泣いたときに抱きしめてあやすという発想ができずに
親と同じように叩いてしまい、それが子孫まで繰り返えされていくのと似ています。
「結婚やお付き合いでもっとも大切なのは、心の交流ができる相手なのかがとても重要。
お父さんとお母さんはとても話し合いをしているよ」 お父さんが娘さんに、お母さんが息子さんに話してみてください。
子どもは 「お母さんとお父さんはお互いを大切に思っているんだ。人は心の交流が図れる人が好きなんだ」 と感じることができ、
また、家族について安心感を得、家族の愛や、これからの自分が作り上げていく愛について考えていくことができます。
子どもはいつも 「親同士が愛し合っているのか、大切にしているのか」 を気にしていますので
一回お話いただくだけでも効果大ですが、小さなころから繰り返し話してあげてください。
子どもが将来、大切にしてくれるパートナーと出会ってほしいと思うのであれば、
親が 「まず自分を大切にし、そしてパートナーも大切にする関係」 を築いていく必要があります。
もちろん現代は、お一人で子どもさんを育てていらっしゃる親御さんも多いと思います。
親御さんが自分の心と体を大切に一人の人間として輝き、人と話し合う大切さを教えていけば、
子どもさんは将来素敵なパートナーを見つけると思います。
学校で行う性教育は、幸せな人生を築くための一助にしか過ぎません。
性教育の基本は家庭なのです。
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家族のつながりを知っている子どもたちは、「だめなものはだめ」 と叱ってくれることで、
思春期の複雑な自分の力ではどうしようもない心に歯止めをかけることができます。
今、仲良し親子がはやっていますが、何でも許してしまうと子どもの世界ではエスカレートしていきます。
思春期の親や教師への反抗は自我の形成を発達させ大人になるための、重要な議論の場です。
まだ子どもであるため、葛藤し自分の殻に閉じこもったり、大人に意見をぶつけたり、言葉で表すことができず態度で表します。
無理やりにでも話し合いの場を作り、大人としての意見を伝えてあげてください。
喧嘩しても反発されても、家族の愛があれば子どもは頭の片隅に親の言葉をしっかりと刻み、
思春期を過ぎ青年期を迎え、大人としてパ-トナーとの関係や次の家族を作っていくときにとても役立ちます。
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性感染症・人工妊娠中絶の問題の背景には、
性交渉の低年齢化や援助交際・出会い系サイトなどの問題が隠れています。
仲良し親子は、ある意味楽です。
でも、子どもに歯止めをかけることができるのは、誰でもない親なのです。
これらの問題には、「自分や相手の体を大切にしない心」 があったり、「性交渉することが愛なんだ」 と勘違いしたりと、
精神的に大人になっていない子どもたちに性交渉を容認すると大変なリスクを背負わせてしまう事実を
大人も認識していかなければならないと思っています。
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2時間にわたって、なぜ話し合う姿を見せることが、
性感染症・人工妊娠中絶だけでなくさまざまな問題の予防につながるか聞いてくださった、PTA・教師・保健師の皆さん、
熱い思いと感想も頂き本当にありがとうございました。