皆さんは「保健師」という職業をご存知でしょうか。
今回はSTDに保健師はどのようにかかわっているのか、ちょっとのぞいてみたいと思います。
もしも、皆さんがSTDに不安があり、「相談したいけれど誰にもいえない」と悩んでいたならば、全国各地にある保健所の保健師が匿名・無料で電話・面接で相談にのってくれます。そんな私の大好きな職業、保健師について今回はご紹介したいと思います。
保健師は、保健所や保健センター等に勤務し、その地域の住民の方の病気の予防や健康増進、保健情報の提供や医療機関等との地域連携を促す役割も重視されています。市町村の役場や保健センターを中心に働く保健師は乳幼児や妊婦、成人、高齢者、障害者など幅広い年齢層を対象として住民に身近な保健業務を行い、県の保健所で働く保健師は難病、感染症、結核やエイズ患者等への保健サービスの提供、SARSや新型インフルエンザに対する危機管理など専門的・広域的な対応が必要な保健業務を行っています。
これまで「保健所保健師」は、AIDS対策としてHIV抗体検査、電話相談、面接相談、住民・学校・医療従事者等への研修会・講演会、啓発のためのキャンペーンやイベント等を行ってきました。しかし、これまで行ってきた保健師の活動はどの程度知られたものでしょうか。私もこれらの仕事をしてきましたが、このことでお会いできる住民の方々は限られた数の方々だったと思います。
保健師の仕事はかなりプライバシーにかかわるため、隠れた縁の下の力持ち的業務が多く、キャンペーンなど行ってもなかなか知れ渡らない特徴も兼ね備えてしまったのかもしれません。
随分前になりますが2001年に、AIDSにおける保健所・保健師の役割、保健所のHIV抗体検査等の認知度について、東京都内某通信大学 学生(15~69歳) 計575名を対象にアンケートをとったことがあります。
「保健師という職種を知っていますか」との問いに、「HIV/AIDSに関係する仕事・活動をしていない」群では、「あまり知らない」145名(27.7%)と「まったく知らない」128名(24.4%)で半数を超えていました(Table1)。
HIV/AIDSに関して「保健師はどういった役割をするか知っていますか?」では、HIV/AIDSに関係する仕事・活動をしていない群の場合、「あまり知らない」154名(29.4%)と、「まったく知らない」262名(50.0%)で、約8割には保健師の役割はほとんど知られていないことがわかりました(Table2)。 (「感染症UP to DATE」 HIV/AIDSに関する保健活動のこれからの形、保健婦雑誌 第57巻第9号、単著、医学書院,東京,2001年9月)
これらは2001年のデータですが、今もその現状は大して変わっていないと思います。
私はSTDについて、「検査について知ってほしい」 「検査を受けてほしい」 「相談してほしい」 と思ったときに保健所には保健師という存在がいて、皆さんの悩みを和らげるお手伝いをしていることを知ってほしいと思いました。そして、この調査を行い、保健師PR のために講演活動をはじめたことを思い出します。
このサイトをご覧になっている方には、STDに悩んでいる方もいるかもしれません。
どうか、一人で悩まずにお近くの保健所のAIDS相談電話・HIV抗体検査(HIV⁽⁽AIDSのウィルス⁾⁾以外のSTDの検査を無料で一緒にやっている保健所も多くあります。タウンページやHPにも乗っています)も活用してみてください。
保健師という存在が、少しでも皆さんのお悩みの手助けになればと願っています。
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(Table1) HIV/AIDSに関して、保健師はどういった役割をするか知っていますか?
(Table2) 保健所では、HIV抗体検査をできると知っていますか?